特別支援学校の教諭(教員)になるためには、以下に示す「普通免許状(基礎免許状)」の上にさらに「特別支援学校の免許状」が必要です。
1. 普通免許状(基礎免許状)
通常学級と同じく、教科での学習を行うための小学校、中学校、高等学校、幼稚園の教員免許です。中学、高校の場合は、免許状は教科ごとに分かれます。
2. 特別支援学校の免許状
専修免許状(大学院修士課程修了程度)、一種免許状(大学卒程度)、二種免許状(短大卒程度)があります。教育領域は視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者の5領域となっています。
※東京学芸大学では、専修免許、一種免許(視覚障害を除く)、いずれの取得も可能です。
特別支援教育教諭になるには(1)普通免許状と、(2)特別支援学校一種免許状を取得するのが一般的です。新規採用者の免許状保有率を見ると、近年上昇傾向で全体では8割を超えており、新規採用時に特別支援学校免許状を持っていることはスタンダードになりつつあります。しかし一方で、視覚障害教育では30%未満、聴覚障害教育では50%未満となっています。特別支援教育を専門的に学んだスペシャリストがまだまだ不足している現状がよくわかります。
免許状保有率(新規採用者) | |
---|---|
視覚障害教育 | 29.7% |
聴覚障害教育 | 46.3% |
知的障害教育 | 85.0% |
肢体不自由教育 | 82.1% |
病弱教育 | 74.0% |
計 | 80.4% |
「特別支援教育資料(令和二年度)」より(文部科学省,2021)
特別支援教諭の採用は、都道府県の教育委員会および政令指定都市では、一般的に特別支援教員採用枠で行われます(例外もあります)。その際、特別支援学校の免許状の保有を条件としている都道府県は全体の半分程度で、特別支援免許状がなくても採用される場合もあります。ただし、受験の条件として特別支援学校免許状を取得(または取得見込)していることを条件にしている自治体が増えていますので、免許取得は大切です。また、特別支援教育について専門的に学んでいない場合は、教員になってからが大変です。通常学級の教育とはまったく方法が異なるからです。特別支援学校教諭になるなら、大学で特別支援教育を専門的に学び、免許状を取得してから、採用試験に臨むのが王道です。
受験者数(人) | 採用者数(人) | 倍率 | |
---|---|---|---|
小学校 | 44,710 | 16,693 | 2.7倍 |
中学校 | 45,763 | 9,132 | 5.0倍 |
高等学校 | 26,895 | 4,413 | 6.1倍 |
特別支援学校 | 9,956 | 3,225 | 3.1倍 |
令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況について(文部科学省,2021)
特別支援学校の採用試験の倍率は3.1倍(令和2年度)で、通常の中高等学校よりも門戸は広いです。教員志望者は増えていますが、採用枠も広がっているため、倍率は比較的低くなっており、卒業後の進路も安定しています。